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『あなたの旅立ち、綴ります』


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2017年 USA
3.8 /5点満点

とある新聞の訃報欄担当の記者・アンの許に、ある時妙な依頼が舞い込んだ。それは、広告業界の成功者として知られ今では悠々自適の引退生活を送るハリエット・ローラーが自ら持ち込んだ依頼で、なんと自分の訃報記事を書いてくれというものだった。まだ生前ではあるが、何事も望んだ形にならないと気が済まないハリエットは、死後の訃報記事ですら、自分の納得がいく内容でないと嫌だというのである。
ハリエットは新聞社の広告主でもあったため、この依頼を断る事が出来ず、アンは気が進まないながら渋々仕事に取り掛かる。ところがハリエットの人となりを聞きに身近な人を尋ねても、誰一人誉め言葉を口にしない。これでは素敵な訃報記事は書けないからと、アンとハリエットは話し合った末、訃報欄に華を添える様な出来事を探す事にするのだった。

アン・シャーマンに、『ジュリエットからの手紙』『ファインド・アウト』のアマンダ・サイフリッド。
ハリエット・ローラーに、『アパートの鍵貸します』『ハリーの災難』『トレヴィの泉で二度目の恋を』のシャーリー・マクレーン。


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新年明けましておめでとうございます。昨年幣ブログを訪れて下さった皆様、ご親切にコメントを残して下さった皆様、どうも有り難うございました。今年もゆるゆると宜しくお願い出来ればと思います。

さて。「何このださい邦題!!」と悲鳴を上げながら(原題は「The Last Word」。これも割合ださいけど……)、それでもシャーリー・マクレーンが破天荒なおばあちゃん役をやると聞いて、これは是非観なければと鑑賞した本作。
結論から言うと、そんなに大した事のない映画でした。
いや、シャーリー・マクレーンを始め、役者は結構良かったんですよ。ストーリーにも感じ入るものが無いではなかったし、酷い出来ではないです。ただ残念ながら、今一つ印象的なシーンに欠ける上、上っ面だけの感動を促す様な場面も散見されて、なんていうか全体的に「浅い」感じ。
コミカルとシリアスのバランスも、ちょっと悪かった気がします。笑いの要素としんみりする要素を半々ぐらいに作ってあるけれど、笑い9、しんみり1ぐらいにしちゃった方が、いっそもっとスカッとしたかもしれません。

具体的に説明しますと。まずアンとハリエットは、素敵な訃報記事に欠かせない要素を、以下の4つに定めます。
①故人が(以下略)家族や友人から愛された人であること
②同僚から尊敬された人であること
③誰かの人生に影響を与えた人であること(その誰かが有色人種や障碍者なら一層望ましい)
④ワイルドカード(見出しを飾るような特別なエピソード)の持ち主であること
しかし、ハリエットはこのどの条件も満たせていないので、これらをクリアするべく、アンとハリエットで奔走するわけです。即ち、疎遠な家族と和解しようとしたり、地域でボランティアをして黒人の少女と仲良くなったり、前々からやってみたかったDJの仕事に挑戦したり。
で、どれもまあまあ成功するんですけど、でもねえ、要はどれも死ぬ前に慌てて取って付けたものばかりじゃないですか。自分の訃報を豊かなものにするために黒人の少女に近づくなんて、あざといし。娘との和解なんて、あれは和解ですらないし(「あなた(娘)が今幸せなのは私のお蔭よ! 私ったらなんて良い母親なの!」とか、正直かなり酷い発言だと思う)。その辺りがどうも個人的に納得がいかず、笑えばいいのか呆れればいいのかもよくわからず仕舞いでした。
ですからそういうあざとさやズルさを、完全なコメディに変えちゃって、ハリエットの図々しさを笑いでかっ飛ばす内容にしちゃえば、多分上手く収まったのではないかと。そうすれば、無理に感動を押し付けられる感じがせずに済んだと思うんです。まあ役者が良かったお蔭で、そういった欠点も目立ってはいなかったんですけどね。

で、色々難点はあれど、少なくともかっこいいシャーリー・マクレーンを見られたのはとても良かったと思ってます。相変わらずお目目が可愛らしく、流石の貫録をその演技で発揮していたシャーリー。また、彼女とコンビを組み、のちに友人になる新聞記者アンを演じたアマンダ・サイフリッドも、なかなか息の合ったところを見せていて、物怖じしていない感じがあって良かった。因みにアマンダは、本作で共演したトーマス・サドスキーと昨年結婚し、お子さんも生まれたようです。
なお本作で一番共感したのは、「The Kinksはもっと評価されるべきである」という台詞。その点には大賛成です。




by canned_cat | 2019-01-04 18:45 | USA映画 | Comments(0)