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『タイタンの戦い』


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2010年 USA・UK
3.7 /5点満点

1981年に制作された同名映画のリメイク版。
神と人が共存していた、神話の時代。人類の創造主ゼウスを筆頭とするオリュンポスの神々は、人間からの寵愛と崇拝を糧にして不老不死の存在となり、世界をほしいままにしていた。しかし神々の度重なる横暴に業を煮やした人間の王・ケペウスが、ついに彼らに反旗を翻す。これに激怒したゼウスは、自らの兄である冥界の神ハデスと、ハデスが創り出した怪物クラーケンを人間界に解き放つ。ハデスはかつてゼウスに裏切られて冥界に追いやられた過去を持ち、ゼウスに恨みを抱いていたのだが、野心は胸に秘めたまま復活のチャンスを狙って人間界へ赴くのだった。ハデスの強大な力によってケペウスはたちまち窮地に立たされ、王国の滅亡か、王女アンドロメダをクラーケンの生贄に差し出すかの選択を迫られてしまう。
だが、ゼウスには人間の女性との間に生まれた息子がいた。その名はペルセウス。彼は生まれて間もなく海に捨てられたのを人間の夫婦に拾われ、人間の子として成長していた。けれどもその家族の命は折しもハデスによって奪われてしまい、ペルセウスは絶望の淵にあった。彼がゼウスの子であると知ったケペウスは、ペルセウスにクラーケンの討伐を要請する。半神であるペルセウスは、唯一、神々と対峙する力を持った存在だったのだ。ペルセウスはこの時まで自身がゼウスの子であるとは知らず一度は戸惑いを見せるも、ハデスへの復讐心から、王国の警護隊長ドラコ以下数名の精鋭部隊、そしてペルセウスの守護神的存在の女性・イオともに、「人間」として討伐の旅に出る。けれどもそれは、巨大なスコーピオンの群れや、ハデスの使いの怪物カリボス、目が合うと石にされてしまうというメデューサ、そして恐ろしい海の魔物クラーケンが待ち構える中へと飛び込む決死の旅であった……。

ペルセウスにサム・ワーシントン。
ハデスに、『ナイロビの蜂』 『グランド・ブダペスト・ホテル』のレイフ・ファインズ。
精鋭部隊のメンバー、ソロンに、『戦火の馬』 『麦の穂をゆらす風』 のリアム・カニンガム。
同じくエウセビオスに、『ジャックと天空の巨人』のニコラス・ホルト。
ペルセウスの養父スピローズに、『ナイロビの蜂』のピート・ポスルスウェイト。
アポローンに、『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』のルーク・エヴァンズ。


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単純明快なアクション・アドベンチャーでした。
この世にギリシャ神話とあらゆる聖典の類とお風呂のカビ取りほどどこから手をつけて良いかわからないものはないと常日頃から思っている私としては、ギリシャ神話と聞いただけで一目散に逃げ出して物陰に隠れてしまいたい気持ちに駆られ、そのせいでこの映画に対しても当初は尻込みしていたのですが、蓋を開けてみればなんのことはない。ストーリーは至ってシンプル、神に反抗した人間たちが一瞬にして返り討ちに遭い、そこで運良く見つかった半神半人の青年ペルセウスが僅かな精鋭のパーティーを率いて決戦の旅に出、野を越え山を越えついでに三途の川も越えて、魔物を倒したり、リーサル・ウェポンとかペガサスとかを手に入れたり、クラーケンを倒すにはメデューサの首が要るっていうんでそれを取りに行ったりして、最後はデヤァーッってなもんでクラーケンをやっつける話です。神々の中でも重要なのはゼウスとハデスぐらいですし、あとはどの登場人物(神物?)も、「ふーん、そんな人(神)がいるのね」という程度の理解で一切支障はありませんでした。
いやしくもギリシャ神話のお話ですから、もし神々を完全な悪者にして人間優位のストーリーに仕立ててしまうと各方面から苦情が舞い込みかねないところですが、本作ではそこを巧いこと悪役をハデス一人におっ付けて、ゼウスとペルセウスには、衝突・譲歩・反発・和解なんていう親子映画のセオリーを一通り踏ませたりしちゃって、ま~るく収めてます。

そういう極めてシンプルな作品でしたので、全体的な感想としては「可もなく不可もなかった」というところでしょうか。特筆すべき内容はないけど、べつに馬鹿馬鹿しいって程でもなかったし、ギリシャ神話をここまでシンプルな娯楽にしたのはいっそ潔い上に有り難い。CG部分には若干あからさまな印象も受けたけれど、アクションや役者さんの魅力は堪能させてもらいました。
主役のサム・ワーシントンさんは、一般的なペルセウスのイメージからすると大分ごついと言えますね。アレ? きみ美青年っていう設定じゃなかったっけ? っていう疑問があの高校球児みたいな坊主頭を前にちらっと脳裏をかすめましたが、とはいえこのペルセウスは反抗期のやんちゃ坊主っぽい熱い性格をしているので、そういう意味では似合いと言えるのかも。でもベテランの豪華キャストに囲まれていたせいか、彼の存在感は今一つ薄かったかな~。
ゼウス役にリーアム・ニーソン、これはなるほど適役という感じ。彼は自分が創り出した人間に慕われたくてしょうがなく、おまけに今まで放ったらかしてきた息子にも好かれたくてしょうがない。そんな構ってちゃんみたいなダメパパ加減が、超面倒くさい反面、無性に憎めません。いや、そもそも私も人間である立場上、ゼウスを憎んじゃいけないのかも知れないけど(笑)。
で、リアム・カニンガム氏は『麦の穂をゆらす風』と同じく今回も渋かっこよかっただけに、最後のあの扱いだけはどうしても納得がいかない……!! もっと彼の見せ場を作ろうよ! ねえ!!
反対に見せ場満載だったのは、我らがマッツ演じるドラコ隊長と、ジンの長老のおっちゃん。彼らの漢気っぷり、戦いっぷりは絶品です。ジンというのは、古くからアラブ圏に伝わる精霊や魔人の類のようですね。まぁそれがギリシャ神話の世界に登場して果たして良いものなのかどうかは私には不明ですが、少なくともこの映画に限っては、長老の彼は必要不可欠なパーティだったでしょう。ウィンター・ブルーを基調としたファッションセンスも素敵です。


てなもんで、ドラコ隊長祭りいきまーす。

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彼、最初に出てきた時は鬼軍曹みたいなおっかない登場の仕方をしたので、あらやだ怖い人なのかしら、嫌な役なのかしらとどぎまぎしていたのですけれど、実際は百戦錬磨の超頼りになるキャプテンでした。強くて、男らしくて、めちゃくちゃかっこいいです。これはちょっと、『キング・アーサー』に次いで痺れたマッツかも。これだけ派手に立ち回れて、しかも少年漫画のキャラクターのような正統派の豪傑役、こりゃマッツもやってて楽しかっただろうなあ! またドラコ隊長の見せ場のシーンで流れる音楽がね、どれも滅法かっこいいんですよ! 音楽家さんナイスぅ~!!(≧∀≦)
作品全体としてはまあまあでも、マッツ度的には非常に充実した映画です。思う存分きゃーきゃー言ったり、悶えたり、泣いたり、鳴いたりしました。えへ。




by canned_cat | 2015-02-01 23:07 | UK・USA映画 | Comments(0)