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『幻影師アイゼンハイム』


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2006年 USA
3.9 /5点満点

舞台は19世紀のウィーン。
この街で、かつて子供時代に身分違いの令嬢・ソフィとの仲を引き裂かれてしまったアイゼンハイムは、その後世界各地を旅し、人気天才奇術師となって戻って来た。
やがてソフィと再会したアイゼンハイムは、悪名高い皇太子の婚約者となった彼女を取り戻すべく、奇術を武器に国家権力に立ち向かう。
アイゼンハイムに、『ラウンダーズ』『ムーンライズ・キングダム』のエドワード・ノートン。
皇太子レオポルドに、『パリ、ジュテーム』『アメイジング・グレイス』のルーファス・シーウェル。
ウール警部に、『私がクマにキレた理由』のポール・ジアマッティ。


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ルーファス・シーウェルの出演作を探して、本作を鑑賞。
傑作とまではいきませんが、なかなか面白い作品でした。まず雰囲気がたいへんよろしい。元々は幻想小説が原作ということで、映像にも物語にも、神秘的な雰囲気が香り高く漂っています。ゴシックな美術も佳いですし、プラハで撮影された街並みも溜息の出るような美しさ。
ストーリーは、これはミステリロマンスとでも云うのでしょうか。ロマンスの要素に関してはこの設定だけで既に充分みたいなものですが、ミステリの部分についても、完成度は然程高くないものの、ちょっとした「ほほう」という趣向があって楽しめる作りになっています。
ただ問題は……主役のエドワード・ノートンさんが、「あと一歩!」という感じ。
いや、ノートンさんご自身には何の問題もないのかも知れません。彼は良い役者さんですし、知性も品性もおありになるし、今回の演技も凄く良かった。然しながら、"お姫さまを連れ去るヒーロー"としては、もう少し華のある人がよったかも(苦笑)。ですから奇術師アイゼンハイムそれ単体としてなら、ノートンさんはバッチリのキャスティングだったでしょう。

ところで日本人にとっては、「イリュージョニスト(=奇術師)」という職業は元々舶来のものなのでありまして。通常、日本ではその手の業種の人は「マジシャン」で片付いてしまうため、正直「奇術」という概念が抑々よくわかっていないところがあるんじゃないかと思うんです(私だけかもしれませんが)。しかも手品といえば、大抵はトランプとか、ハンカチとかステッキとか鳩とか、お定まりの小道具を使うものだと思っているきらいもあるような……(それも私だけかもしれませんが)。
でもアイゼンハイムは、普通の手品っぽいものもやるし、かと思えば手品と呼ぶにはもっと魔法っぽいもの(より物理的な説明をつけづらいもの)や、或いはもっと科学的なものや大掛かりなものまで、幅広くやる。まぁそれこそが彼が奇術師たる所以なわけですが、然しそのお蔭で、私としては彼の生業の内容が最後まで掴みきれず、一体この人は何者なんだ、と多少混乱が生じてしまったのも事実。そして恐らくは同じような混乱の結果が、邦題の「幻影師」にも表れているんだと思います(笑)。
困った事に国語辞書を引いても、大抵「手品」と「奇術」は同列扱いになってるんですよねぇ。どうかすると、そこに「幻術」なんてものまで加わってきちゃったりして。だからその違いが知りたいねん私は!! っていう(笑)。

さてお目当てのルーファスですが、早速出ましたよ、「悪名高い皇太子」役! この人は本当に、何かとこういう格好の役どころにされてしまうみたいです。それも勿論悪くはないけど、でもそれだけじゃ絶対勿体ない。
なお皇太子レオポルドは、冷徹で傲慢で、いかにも悪役という感じではありましたが、主役を喰いかねないような存在感を放っていました。 実際、目立ち度で言えば本作はレオポルド>ウール警部>アイゼンハイム。でも最後はさすがにちょっとお気の毒でしたね。合掌。




by canned_cat | 2014-10-10 23:45 | USA映画 | Comments(0)